BSD金庫ダイヤル開け
「ダイヤルが動いてしまったようだ。鍵は廻る」と言われた時、業務用金庫なのだと思いました。サイズを聞くと小さいけれども、レバーハンドルは付いている。青梅市、会社事務所の金庫はBSDsafe TOKYO GINZAと書かれています。文祥堂というメーカー、現在は存在しないようです。KISのキーシリンダーは、ダイヤルとは独立しているので180度廻ります。ハンドルを動かすと駆動ディスクが判別できます。家庭用金庫の場合ほとんどハンドルはなく、ダイヤルが揃ってなければキーが廻りません。この金庫ダイヤルは家庭用だけど、シリンダーは独立しており、業務用金庫との中間的な構造といえます。ハンドルがテンションになるので、いつもの探り工具が使えません。ブルブルっとやるのも、金庫を動かすスペースがないので厳しい。コード表でひたすら合わせてみました。エアコンが効いているので、1時間作業しても快適。運良くレバーハンドルがガツンと上がってくれました。4つの番号を判明させて完了です。帰りながら、電話での応対を思い出します。依頼者は年配の方で、料金も気にせず「とりあえず早く来て開けてくれ」と言いました。現在は、こう言われる問い合わせの方が少数派です。「こういう場合はいくら、ああなるといくら」と料金説明が必要な場合が多い。私はてっきり、業務用金庫だと思ったので、それなりの料金を伝えました。料金を気にする問い合わせ客だったら、この依頼は決まっていなかったんだろうな、と気付きました。結果として、家庭用金庫ダイヤルの料金になったわけですが、電話口では判断できません。電話応対一つで依頼につながらないのは、まさにこういうケースなのだろうな、と実感します。料金も聞かず、とにかく来てくれ、という人は年配の人に多いですね。他業者と比較したりせず、猜疑心ももたず、信頼して依頼してくれる。10年前はこういう依頼者、もっと多かったはずです。鍵屋の電話のやりとりだけを切り取ってみても、日本人の民族性が変わってきているのかも知れません。ぼったくり業者が多くなっている昨今の現状からすれば、仕方ないといえます。